経験することは学習ではない
何事も経験して学びなさいとよく言われますが、自身の血となり肉となるためには経験をするだけではいけません。
例えば全く同じ業務の経験をした2人がいたとします。
この2人の成長に違いが生じる事は珍しくありません。
では2人の成長の差というはなぜ生じるのでしょうか。
これは、【経験を学習に変え、次にそれを実行できるかどうか】の違いに差があるからなのです。
ただ漠然と業務をこなしているだけでは成長できません。
毎日のルーティンワークからでも学習できるかというのが成長のカギを握っているのです。
それでは経験を学習に変える手順について説明します。
経験を次に活かす3つの学習プロセス
得られた経験を次に生かす段階には大きく3つあります。
- 経験する段階
- 経験を振り返りそこから教訓を得る段階
- 得られた教訓をもとに行動する段階
人間は学習する生き物です。
何気ない日常生活でも無意識のうちにこのステップを踏んでいます。
次のような具体例では無意識に学習していると言うことを感じてください。
- (経験)石につまずいて転んで痛い思いをした
- (教訓)あそこには石があり注意しないと転ぶ
- (行動)次から同じ道を通るときその石を避けるようになる
しかしながら仕事では経験から教訓を得るという段階は意識する必要があります。
「経験」する段階
人によって得られる経験と言うのは異なってきます。
どうすればより良い教訓を得られる経験ができるのでしょうか。
まず1つ大切な事は、些細なことにも疑問を感じることです。
これはこの常識学のテーマでもあります。大切な事は【自分の無意識に目を向けることができるかどうか】です。
- この道具はここに置いてあることがベストなのだろうか
- 長く引き継がれているこの常識はこのままで良いのだろうか
- なぜ今回の仕事がスムーズに進行できたのだろうか etc…
失敗を次につなげるという言葉からも、学習しなければならない経験と言うのは失敗であると思いがちです。
しかしながら経験と言うのは必ずしも失敗である必要はなく、成功したことも経験の1つと考えましょう。
そういった成功体験がまた次の成功につながっていくのです。
経験を振り返り「教訓」を得る段階
具体的な経験を振り返り、そこから教訓を得るまでにはいくつかのステップがあります。
それぞれのステップには考える人の心理的な変化も作用するでしょう。
例えば新任マネージャーのAさんは販売することが難しい新商品の販売業務を任されたとします。
Aさんはこの時強い不安を感じながらこの仕事に取り掛かることになるかもしれません。
そしてAさんの率いるチームは努力した結果、新規のお客さんにその新商品を販売することに成功。
しかしながら別部門の人と連絡が不十分であったため新商品の納期が期日より遅れそうになりました。
今後は同様のミスが生じないようにするため別の部門と打ち合わせをし、納品等に関してしっかりと連絡を取り合うということを決定しました。
Aさんは、この一連の出来事から商品を販売する際には他の部門との調整も重要であると言う教訓を得たといえます。(ここの教訓を得たという意識が大切)
このような具体的な経験から教訓を得ると言う事はその経験を深く意識する必要があるということです。
得られた教訓をもとに「行動」する段階
Aさんは、商品の納期を守るために別の部門との意思疎通を図り、緊密に連絡をとることが必要だと言う教訓を得ました。
そして別の新しいお客さんとの取引を開始するときには、その教訓を生かし別の部門と納期を確認しながら進めることでトラブルなく商品をお届けすることができます。
ただし得られた教訓と言うのはどの場合にも活用できるわけではありません。
強く確信するほどの教訓を得られたとしてもそれにこだわりすぎないで臨機応変に対応していくという姿勢が大切です。
すなわち自分が得た教訓と言うのは状況に応じて変えながら実行することが必要になってきます。
まとめ
自分自身今まで様々な経験をしてきました。
確かに次につながるような教訓が無意識のうちに得られ、自然と実行に移していることも多いです。
しかし自然には身につかないことは何度も同じ失敗を繰り返していたように思います。
そんな時は実際に得られた「経験」、そこから得られた「教訓」、教訓から実際に起こした「行動」をメモして意識する必要があると思います。
常に成長していくためには「経験」→「教訓」→「行動」を1サイクルとし、このサイクルを何回も何回も回し続けることが大切だと感じます。
1サイクル終わった後に「これで成功した」と終わるのではなく、「行動」によって得られた「経験」からまた新たなサイクルをスタートさせる必要があるのです。
勝って兜の緒を締めよなのです。