なぜあの時自分は「あの行動」をしたのか
「あの時こうしておけばよかった」「どうしてあんなことをしてしまったのだろう」「あの時はよくできた」
このような我々の行動はなぜ起きているのでしょうか。
とてもシンプルに考えたとき、我々の行動は「原因→感情→行動」という流れで起きています。
確かに「原因」があるからこそ、「行動」を引き起こすことに間違いはありません。
ただしこの「原因」というのは自身の「行動」にとっては間接的な要因であることに加え、自身の力では変化させ難いものが多いのです。
すなわち自分の行動を直接的に制御しているのはまさに「感情」なのです。
そしてこの「感情」の制御というのは訓練によって身につけることができるというのです。
それでは詳しく見ていきましょう。
感情を見つめるEQ理論(Emotional Intelligence Quotient)
自分や相手の感情の働きを理解しコントロールする能力のことをEQといいます。
「こころの知能指数」や「情動の知能指数」と言われることもしばしば。
1989年にアメリカの心理学者ピーター・サロベイとジョン・メイヤーによって提唱されました。
EQ理論において、様々な言動はその時の自分の「感情状態」に大きく左右されるといいます。
また問題を解決するために適切な判断をして最も良いと思われる行動をとるためには『感情』が不可欠であるとしています。
そして適切な感情が活用できれば意図する目標や成果を得るために適切な思考・行動・態度をとることができるというのです。
EQ理論では「感情の識別」「感情の利用」「感情の理解」「感情の調整」と言う4つの能力の使い方を習得します。
さらには弱いエリアを強化することで人間関係を円滑に運用できるようになることを目的としています。
感情の識別
感情を読み取る能力のことを言います。
人とのコミニケーションを効果的に図るには、自分自身と相手の感情を正確に識別することが重要です。
あの人は「KY」すなわち場の空気を読めない人だといわれる人は、感情の識別能力を鍛える必要がありそうです。
ただし難しいことに人によって怒っているように見えても実は喜んでいたりと難しい場合もあるでしょう。
周囲の人からその人についてのデータを集めることもいいかもしれません。
そして自分の感情についても今自分はどんな感情かと自問自答することも重要です。
感情の利用
適切な感情になる能力です。
何のことを言っているのか難しいところです。
問題解決や課題を達成するための行動をする際、あなたはどのような感情になるのが適切でしょうか。
この答えを考えて、その感情に自分がなれればより良い結果を期待できるというものです。
例えば問題解決をするときに冷静になると解決策が思い浮かぶ特徴の人は「冷静」という感情が答えになるでしょう。
もしかすると熱い感情になるとやるきがでて問題解決ができる人もいるかもしれません。
感情の理解
その感情が湧き出てきた理由と今後の変化を予測する能力のことです。
感情は潜在的な原因に基づき湧き出て、一定の法則に従って変化すると言う特性を理解しましょう。
まず自分や周囲の人がその感情に至った原因や、その時の状況を理解します。
そして次に自分の行動によって相手の感情はどう変化するかを考えましょう。
例えばAさんが怒っている(現状の感情)とします。私はAさんの話を頷いて傾聴してあげる(行動)ことで、穏やかになるだろう(私が考えるAさんの変化後の感情)と考えた。
こういったことを理解することでどのような行動を取るべきかがわかり、人とのコミニケーションがスムーズにできます。
感情の調整
適切な感情を持って行動する能力です。
感情が物事の判断や行動する際の思考に大きく影響を及ぼすことを学びました。
そこで先ほどの「感情の利用」によって考え出した感情を、「感情の理解」で導き出したとるべき行動に適するよう調整・統合する能力が重要です。
EQ理論における4つの能力のまとめ
なかなか難しい内容でした。少し自分なりに具体例とともに考えてみたいと思います。
「感情の識別」…喧嘩が勃発して彼女が怒っている。そして自分もイライラしている。
「感情の利用」…自分が今冷静になれば謝ることもできるし、相手の話を聞くこともできる。
「感情の理解」…自分が今すぐ謝ると彼女は「謝れば済むと思っている」と感じる。結果怒りの感情は変化しない。
「感情の調整」…喧嘩を終わらせるためには自分が冷静になり、相手の意見を最後まできちんと聞いてあげる。
何も考えないでいた場合は自分の怒りという感情をそのままにしてしまい、その結果言いたいことをひたすらいうことになり、喧嘩は終わるところを知らなかったでしょう。
このように最終的には自身の感情をコントロールできれば、それに伴った行動をすることができます。
この4つの能力を鍛えることで、職場、恋愛、友人などありとあらゆる場面で活用することができます。
すべての行動は感情から。